ドリパ短編#020「ムゲン」

赤。
部屋一面に広がる赤色。
その真ん中に少女がうつ伏せで倒れている。
顔は反対側を向いていて誰だかわからない。
(助けなくちゃ・・・)
少女に近づこうと走り出す。
がしかし、その光景はどんどん離れていき、やがて見えなくなってしまった。
歩みを止めて立ち尽くす。


背中を誰かに不意に押される。
地面に倒れるかと思いきや、目の前は崖だったのか、頭から落ちていく。


どこまで落ちていくのだろうか。
世界の上下がわからなくなったところで、
うつ伏せになっていた少女も一緒に落ちている事に気がつく。
正面で向かい合っていても、長い髪で隠れていて顔がよく見えない。
血まみれの彼女が口を開く。
声は聞こえなかったが唇の動きでなんと言ってるのかわかった。
(タ・ス・ケ・テ)


・・・何度みてきた夢だろう。
午前2時。
汗だくの身体を起こし、飲み物を飲もうと冷蔵庫に向かった。