NIGHT・MARE


闇から始まり、闇で終わる日の切り替わり時。
寒空の下で僕はバスを待っていた。


こんな時間にバスは来るのだろうかとも思ったが、
自分の前にいるカップルが先にバス停で待っていたので
多分、バスは来るのだろう。
後ろに3人程家族が並んでいたし、今更時間を確かめるのも面倒だった。
だが車の通りが全くなく、バスが来るのか不安になってきた。
実はバスはもう来ないのに目の前にいるカップルが
ふざけて自分達の後ろに並んでいる人達を馬鹿にしているんだろう
・・・と思った矢先だった。


フルエンジンの1台の暴走車が通りの反対車線に出てきた。
そのまま自分達の目の前を通りすぎるかと思いきや、コチラに向かってきた。
僕達は散り散りになって、その暴走車を避ける。
「んだよっ、あの車!!」
「酔っ払ってるんじゃない?飲酒運転サイアク・・・」
カップルが話している事と同じように飲酒運転かと思ったが・・・
轢き逃げをしそうになったその車は右往左往して猛スピードで走り
すぐに視界から消え、後はエンジン音しか聞こえなくなった。


ドン
なにかが爆発したのかと思ったが、足元がグラついているので地震だと分かった。
悲鳴が止まらない。
遠くで火が上がっている家屋が見える。
119を誰かして、と女性の声。
メキメキと後ろにあった5,6階のビルが奥に倒れる。
もし自分達の方に倒れてきていたら・・・と想像をしたが、すぐにやめた。
なにか面積のあるものが頭の上に降って来たが、奇跡的になにかに引っかかった。
どうやら大人が立っていられる分のスペースはあるようだ。
ようだ、というのも僕はうつ伏せになっていたからだ。


相変わらず地面は揺れているのだが、なぜか心地よい。
そうだ119しなきゃ・・・。
うつ伏せのまま、左手でポケットから携帯電話を取り出し電話をかける。
意識が朦朧としている。
そういえば後頭部が熱い。
空いた右手で頭を触ると、生暖かいそれに触れた。
電話はまだ繋がらない。





―――――――という夢を見た。