小説風に。

気がつくとそこは車の中だった。
助手席でシートを横にして寝てたらしい。
一緒に車に乗っていた家族はすでに家に行っている。
寝ている間、夢を見た。
ワニに襲われる夢だ。
追いかけられてとてもスリルであった。


不意に車が揺れる。
外から弟が車を揺らしていた。
俺を起こしに来たのだろう。
俺は眠気がまだ残っており、体を起こすのが面倒であった。
揺れが止まる。
なんだろうと薄目でいると弟がフロントガラスになにか書いていた。


『ここからでないとしぬ』
俺から見えるように書かないといけないのに
よくすんなり書けるもんだと思っていると
その文章の下に数字の『3』をかいた。
それを消して『2』また消して『1』とカウントダウンしていく。
よく見るとフロントガラスの右下に
なにやら赤い文字で漢字が一文字描いてあった。
やたらと画数の多い字で
それがなんとなくやばい呪い文字であると直感的に思った。
それは前だけでなく周りのガラスにも
それぞれ1枚1文字という具合で描かれていた。
もしかしたら『0』と描かれたら本当に俺は死ぬのではないか。


恐怖感を覚えると同時にポケットにいれていたケータイのバイブが。
電話だ。
明日の仕事についての電話だった。
姉さんの明るい声がなにかにくい。
・・・気がつくと周りに誰もいなかった。
ガラスにラクガキや変な呪い文字もない。
二重夢・・・?
今までの弟のイタズラは夢だったのだ。


だるい体を起こして俺は車を出た。