ドリパ短編#008「鎖(腐り)の少年」

僕は何も悪くない。
悪いのは全部周りの人たちのせいだ。


親には、普通の子供として見せなければ・・・。
兄のことがあるので余計な心配をかけさせたくなかった。
空手の大会で優勝したことや、テストで満点を取れたことを話す。
これは兄の分の頑張りだ。
・・・のはずなのだが、どうして。


学校から帰ってきて、
部屋でうずくまる時間が日に日に増えている気がする。
家のみんなには勉強していると思われているのだろう。
しかし実際は・・・。


━━━━━━このときの僕は視野が狭かった。
方法はいくらでもあったはずなのに、行動できなかった。
学校の成績なんて関係ない。
生きるのには賢くなかった自分。
もっと早くに気づいていれば、彼女を守ることができたはずなのに・・・。




後悔という名の鎖は僕を縛りつけ、前に進もうにも進めることはできない。
自分のチカラで断ち切るまでは。