ドリパ短編#016「The Wonderful World」

木漏れ日を浴び、手ごろな木を背に座る。




ここは現実世界なのか、精神世界なのかよくわからない。


『具現』ができないからといって現実世界とは決め付けられない。
もしかしたら『部屋』の『ルール』の1つかもしれないからだ。
だとしても俺の実力ならそんなルールは無視できるが、
もしカウンセリング途中であるならば患者の負担となってしまう・・・。




目が覚めてからずっと考えている。


記憶が曖昧である。
どうして俺がこんな森の中にいるのか。
とても大事なことを忘れている気がするが、
思い出そうとすると頭痛がひどくなる。


まずは現状把握をしなければ・・・。
とにかく行動することにした。
森の規模がわからないので、このままでは遭難しかねない。
いやすでに遭難しているのか・・・?
滑稽であると感じ自分を鼻で笑う。
周りを見渡すとタイミングよく近くで煙が上がり始めた。
狼煙・・・。
その煙の元へ移動しはじめた。
もちろん移動中でも警戒はといていない。
格闘技をもっと極めればよかったな・・・だがあいつに教えてもらうのは無理だ。
俺のプライドが許さない。
手ごろな木の枝をナイフ代わりに進む。








狼煙のところまで来た。
ヒトが2人いる。
100メートル先で俺は確認した。


・・・50メートル。
素人か?
顔を目視する。
見覚えのある顔だった。
クドとレア・・・?
しかし格好がおかしい。
ゲームのRPGで出てくるような中世の平民・・・冒険者といった格好だ。
談笑している。
一人は高校生くらいの男子。剣を持っている。
もう一人は女の子。
男と同い年っぽいがなんとなく年上だと思った。
といっても2,3歳くらいだろうが・・・。
こいつらゲームのロールでもしているのか?
だが名前を聞いて別人であると判断した。
男はゼット。
女はノドカ。
とりあえず合流
!?
ドン




ちっ・・・俺としたことが。
反射的に相手の攻撃を前方に跳びかわし、体勢を整える。
俺を攻撃したのは熊・・・クマ??
あぁ・・・いや・・・???
とても愛嬌?のある顔だ。











・・・。


一体なんなんだこの世界は・・・。
俺を襲ったクマは蜂の巣をとろうと頑張っている。
しかし手が短くて届かない。
蜂の巣をとってやった。
お礼にということで肉球を触らしてくれた。
俺は気の済むまでとことんプニプニしまくった。






HAHAHA


あれ?
目から汗が止まらないよ。
・・・俺は苦悩した。