ドリパ短編#018「闘」

『うかつ・・・・・・』
少女は腹部を手で抑え、指の隙間から「赤」が流れた。
刺される寸前に身をかわし、致命傷を避けるので精一杯だった少女は俺を見据える。
『・・・コロス』
俺はナイフを持った手を引き、互いの10数メートルの間合いを一跳躍で詰めながら
『っ・・・!!』
少女の喉元を突き刺すようにナイフを突き出すが、視界から少女は消えた。
刹那、世界が回った。
どうやら消えた少女は後ろへ倒れながら、脚を突き出し俺を蹴り飛ばしたようだ。
着地する時にはすでに少女はカタナを用意していた。
構えている、がどこかぎこちない。
怪我のせいだろうか、少女は震えている。


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『ジェイは何をしているんだよ・・・』
カウンセリングする人間を間違えたかと思っていたが、ハッカーが存在する以上そちらも対処せねばならない。
しかし、怪我をしている私一人でアイツを倒せるだろうか。
男がジェイの姿をしていたから油断していた、という言い訳。
『散々言い聞かされていたハズなんだけど・・・ね』
視界が揺らぐ。
具現化したばかりのカタナにノイズがちらつくばかりか、自身にもそれが起きていた。
『ウソ・・・もう時間なの?!』